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「うわぁ……。凄い屋台の数!」



川沿いに立ち並ぶ色鮮やかな屋台を見て、感嘆の声を上げるあたし。


何百メートルも続くその屋台はまさに圧巻の一言で。



「あ、イカ焼きある!リンゴ飴も発見!食べたーい!」


「……ガキか」



テンションMAXのあたしには、十夜の呆れた声なんて全く届いていない。







「こんな大きいお祭りだったんだねー」



此処に来るまでの道中、お祭りの事を壱さんから色々聞いたけど、まさかここまで大規模なお祭りだったなんて思ってもいなくて、正直驚愕。



「凛音ちゃんが好きそうな出店いっぱいあるよ」


「え、ホント!?楽しみ~」



壱さんの情報では、このお祭りはN県で一番規模が大きいらしく、何でも、県外でも名の知られている有名な川沿いで行われるんだとか。


屋台の数は数百店にものぼり、メインの花火は何万発という膨大な数が打ち上げられるらしい。


実家が隣県にあるあたしは噂を聞くぐらいで来た事がないから、今日は来れて凄く嬉しい。



「十夜、壱さん、連れて来てくれてありがとう!」



窓に張り付いたまま肩越しにそうお礼を言えば、「こっちこそ一緒に行ってくれてありがとう」と微笑んでくれた壱さん。


十夜は何も言わなかったけど、少しだけ表情が柔らかくなった気がした。









「あ、あそこ空いてる!」

「ホントだ」



駐車場に着き、駐車出来そうな所を見つけた所で降りる準備を始める。


と言っても、巾着を手に持って、中に入れてあったスマホの音量を上げるだけだけど。


迷子になる事はないと思うけど念の為にね。


電話に出ないと煌ママがうるさいし。