「千菜!」



パチッと、目をあけた。
なぜだろう、息が苦しい。
体中が水に濡れていて、水を飲みこんだのか体がだるい。



目をあければ、私を抱きあげ見下ろしている鬼羅。
なんで私は、鬼羅に抱きしめられているのだろう。




「ああ・・・」




ああそうか。
私は、千代さんで。
千代さんが、私の身体を乗っ取って・・・。

鬼羅は、千代さんを求めていて。



苦しくて。
悲しくて。




私は、この身体を手放したんだ・・・。




「なぜ・・・?」

「千菜?」



なぜ私は、戻ってきたんだろう。
なぜ私が、鬼羅に抱きしめられているのだろう。