side 翔輝



「「家族旅行!?」」



夏も過ぎて、秋の涼しさが出始めた今日この頃。


その日の夕飯の時、俺は弟に旅行の話を切り出した。




「そ。予定みたら、お前ら来週の金曜から休みだったからさ。ここなら煌と雷もオフなんだよ」




練習漬けで忙しい二人の休みがあるのは、ここだけ。


だから、行くならこの日しかないんだけど…。




「問題は恋と蒼だよな。ガッツリ仕事入ってんだろ」




トップアイドルとして活躍中の二人は、仕事の休みなんてないくらい予定がぎっしりだ。



グループでの活動と、ユニットでの活動がある二人の休日なんて、月に一度あるかないかくらい。



どうしようか。


やっぱり今回は諦めるか?

行くなら全員で行きたいしな。



「兄貴、何でそんな悩んでんの?」




テーブルに肘をついて考え込んでいた俺の耳に、恋の声が聞こえてきて。


顔をあげて恋の顔をみると、キョトンとした恋の顔があった。




「そーだよ、何でそんな残念そうな顔してんの?」




そして恋の隣にいる、全く同じ顔の蒼までもが、キョトンと俺の方を見ている。




「いやいや、だってお前ら仕事…」


「大丈夫だよ」


「そんなことで悩んでたの?」



大丈夫ってどういうことだ?




「お前ら、その日仕事入ってないのか?」



それなら全然問題ねぇんだけど…。