スピーカーから流れるチャイムの音と共に、教室内はざわめきだす。


それまでは時が止まったように静けさが広がっていた教室内から一転、動き出した時が辺りをざわつかせる。



「ツヤコ」



そんなざわめきの中でツンと耳に響く透き通る、声。


大して何も入っていない引き出しから荷物を取り出し、かばんの中へと詰めてゆく。そんな時、目の前の男子はあたしを呼んだ。



「な、なに?」



あたしは意味無く、ドギマギしてしまう。


思わずかばんを抱きしめてしまうほどに。


だってこのかばんの中には、アキ宛の手紙が入ってるんだから……。それもあたしが書いたものではなく。あたしが書いたまがい物なんかじゃなく、れっきとしたラブレターが。


正直テストなんてめちゃくちゃだ。なに書いたかすら、すでに思い出せない。

補修は免れないかも……。