酔いが少し冷め
懐かしいこの家を歩いていた。
ら…、ギュッと後ろから抱きつかれた。



母「りぃちゃん」
李「さっちゃん」
零と秀のお母さんだ。




優しくさっちゃんを離す。
李「ねぇさっちゃん。聞きたいことあんだけど」
母「…零のこと?」
李「あぁ…秀のことは…」

さっちゃんはまぶたを伏せた。




母「言えてない。だって…零からしたら、血のつながった家族は秀だけよ?…言える訳ないじゃん」



零と秀は血のつながった双子、さっちゃんに山の奥で見つけたという話しは秀から聞いていた。




李「やっぱり。分かった。俺も隠す。」
母「…りぃ」


李「いけないことだけど…隠す。もしバレたら、理解させる」




母「ふふ…りぃちゃんね。ずいぶんと男らしくなっちゃって…。秀はこっちよ」
俺はさっちゃんの後に続いた。




ふすまを開けたそこには秀の入る仏壇。

俺…いや、私は初めて顔を合わせた。
李「秀っ…久しぶりっ…」




その悲しげな表情が…声が、母の心に染み込んだ。