『ラグタイム』に飛び込むように入った。

「誰だ?」

その声とこちらへ向かってくる足音に、あたしは泣きそうになった。

泣くのは後だ。

自分に言い聞かせていたら、
「夕貴…」

武人があたしの前に現れた。

「やっぱり、女だったんだな」

黒いポロシャツに七分丈のジーンズ姿のあたしに、武人が呟くように言った。

「で、何しにきたんだ?

今月いっぱいで、お前は辞めるんだろ?」

そう言った武人に、
「ごめんなさい!」

あたしは躰を2つ折りにして、武人に謝った。