夏休み直前。



陽が落ちたというのに、
吹く風は生暖かい季節。


じんわりと体を覆う汗を、
うちわがわりにした手で冷ますけど
そんなもので冷めるわけもなく。


そんな事をしながら、
携帯の画面と睨めっこしていたら
視線の端に映るドアから、
一気に人が流れ出して来た。



携帯を半分に折り立ち上がると、
一人一人を必死に確認する。



キョロキョロと頑張って瞳を動かし、
やっと姿を見つけ出した時には、

人はまばらになっていた。



「璃久(リク)−!」



手を大きく振りながら、
小走りに近づくと



「……また待ってたんか」



なーんて、

ツレない返事。