俺はカップの中のコーヒーを最後の一滴まで飲み干した。


ジワジワと体温は上がって行き、甘い砂糖にホッと落ち着きを取り戻す。


「ごちそうさま」


俺はそう言い、カップを流し台へと持っていくと、ドアへ向かって歩き出した。


銀色のドアノブに手をかけ、回す。


ドアはすんなりと開き……光が、差し込んだ。


夕暮れのオレンジ色の光だ。


風が吹き、草木の香りがする。


「お疲れ様」


そして、目の前に立っていた人物がそう言った。


俺はそいつを見て笑う。


「あぁ。コーヒー、ごちそうさま」


「君には休憩時間がなかったからね」


「休憩がなくても頑張ってただろ」


俺はそう言い、笑う。