《火傷を負わせたもの、負わされたものの死亡により、原正拓夢がカラアゲを食べなさい》


その声がどこか遠くから聞こえる。


死亡により……。


2人とも……死んだ……?


俺はそっと2人に歩み寄った。


足元に流れている血はまだ温かくて、百合の背中に触れると温もりを感じた。


「百合……?」


俺はその場にしゃがみ込み、百合に声をかけた。


「おい、百合?」


その体を軽く揺さぶってみる。


百合は目を見開いたまま動かない。


百合のトレードマークのポニーテールが、ダラリとたれている。


俺は百合の頬に触れた。


柔らかくて艶のある綺麗な肌。


「百合……」


俺は込み上げてくるものをグッと押し込め、百合の背中に刺さっている包丁を引き抜いた。


タイムリミットは30分。


食べなきゃいけないものは……もうわかっていた。