海から見えていた建物は島の中腹あたりにあるらしかった。


舗装されていない道を、草木をかき分けながら進んで行く。


そこはまるでジャングルのようになっていたけれど、よく見てみると草の下にはコンクリートの道が続いていることがわかった。


「この島、無人島なのかな?」


百合が呟くように言う。


「今はそうなんだろうね。でも、昔は人がいたかも」


草木に覆われているコンクリートの上を歩きながら俺は答える。


小さな島は歩いても半日くらいで一周できてしまいそうだ。


それぞれに無駄話をしながら歩いていると、雨がさっきよりも強く降り始めて来た。


「やばいな」


一番前を歩いていた嵐が言う。


嵐の隣には悠。


「ちょっとスピード上げて歩こうよ」


その後ろを付いて行く春姫が言う。