「昨日はすみませんでしたっ!!
あれはそんなつもりじゃなかったんだ、あみを下げるつもりとかそういうんでなくて。ほんの冗談のつもりだったんだよ。ほら、あみとは付き合い長いから冗談も言えるけど、さほちゃんたちは年下だし入ったばっかだからまだ気を使うというか......。でもさ、あれじゃあみが怒るのも当然だよな、昨日あのあと」

「ゆっちトイレいこー」


翌日、三時間目が終わった後の教室。
私の席の前で、深々と頭を下げるにっしーの方を見ようともしないで、ゆっちをトイレに誘う。

休み時間のたびににっしーが謝りにくるけど、徹底的に無視している。

昨日家に帰ってからも、謝罪のLINEと電話がうざいくらいにきていたけど、それももちろん全部無視。


「いいの?にっしー話したそうにしてるけど?」

「いいの、あんなやつと話すことないから」


廊下に出てからもまだにっしーが気になるのか、教室の方を振り返るゆっちに、私はただまっすぐ前だけを見て吐き捨てるようにそう言った。