就業のベルが鳴る。

私はチラリと腕時計で時間を確認する。

もう17:30か。

パソコンのキーボードを打つスピードが上がる。

「10日納品の封入チラシの校正どうなった?」

草食系男子の後輩島村に私はチラリと鋭い視線を向ける。

「ああ、さっき色校が上がって来てましたー。」

「それ、校正完了した?」

「これからでーす」てへっと島村は笑う。

「じゃあ、18:00までに回付してね」

有無も言わさぬ笑顔でゴリ押しする。

「ええ~無理っすー」など間延びした返答が返ってきたのでイラっとするが無視だ。

「下関さん、DM発送の予算どりの稟議書って申請していただいてますよね」

今度は下関さんに鋭い視線を向ける。

下関さんは向かいの席で頬杖をつき、健康器具で肩を揉みながら、パソコンを眺めている。

例のごとくネットを見ているに違いない。

「まだですけど何か?」

「印刷会社が請求書上げてきた時点で予算確保出来てなかったら、事ですよね?」

再び笑顔でゴリ押しすると、下関先輩の眼光がキラリ光る。

「沖本さー、最近男出来た?」

「いいえ、特には」思わぬ下関さんの反撃に私はぎょっとする。

コウの完璧なポーカーフェースまでは真似出来ない。

「狼狽えちゃって。わっかりやすーい」下関さんはフンと鼻で笑う。

「今はそんな事関係ないじゃないですか。仕事中ですよ」私はキリっと言い返す