かつて、
武家の輿入れは、
それは盛大に行われた。

迎え入れる方は、
白絹をひいて、座敷と寝所ともに
数々の決められた
吉祥紋が入った置物や盃で
飾り尽くす。

焚火をし、その火で餅米を蒸し、
餅つきをして、
花嫁行列を迎える。

嫁入り道具の
箪笥には着物がめいいっぱい詰めてある。
長持ち、鏡台、
自分で縫い上げた布団など
それら花嫁道具を先に入れ、
一番最後に花嫁が家に入る。

花嫁は、仏壇に挨拶をし、
祝言がようやく始まる。

三々九度の盃の儀式が
完了すれば、婚姻が成立。

決まった目出度い宴へと入り、
それは三日三晩続いたそうな。