「…………はぁっ………はぁっ……!」


技術室で少女の霊に『気付かれた』。


そう脳裏によぎった瞬間、私は駆け出していた。


もう扉を開けたあとだったからすぐ逃げてこられたけど、走っても走っても引き離せない。


もともと教室の端から端くらいの距離があったから良かったものの、今はもうその半分もあるかどうか………。


体力ももう持たないし、このままだと……先生みたいになる…?


嫌だ。


どうしよう、どうすればいいの…っ?


「はぁ、はぁ……っ……」


そういえば…私はどうして『気付かれた』んだっけ?


最初はスルーされた…。


教室の扉を開けた瞬間にグチャグチャという音は止んだ気がする。


ということは…扉を開けたから?


……………いや、違う…。


『あの子は耳がいい。だが目が悪い』


紙に書いてあったこと…つまり………


先生が真っ先に気付かれたのは悲鳴をあげたから…私が気付かれたのは、扉を開けた時に音を出したから…………!


じゃあ、追いかけてくるのは足音をたてているから場所がわかるってこと。


足音をたてなければいい……?


階段を上って今、3階にいる。


近くには理科室…。