「………あれ?ねぇ、芽衣ちゃん。
あそこ、人影ない?」


「え?どこ?」



みんなを探し歩き始めて数分。


歩が中庭をまたいだ向こう側の廊下を指差して、私を呼んだ。



「…………ぁ、本当だ…!
二人いるよ!」



桜ちゃんが私より早く2つの人影を見つけて、指差す。


そちらに懐中電灯を向けてみると、確かに、なんとなく人影が見える。


二人とも凄いなぁ。


こんな暗い中で、あんな遠くの人影を見つけるなんて。


私はずっと懐中電灯を持ってるから、あまり暗闇に目がなれていない。


それを思うと、懐中電灯は細かいところを探すためだけに使って、普段は消しておいた方が良いのかもしれない。



「あ、手振ってるよ。
向こうも気付いたみたい」



私の懐中電灯の明かりに気付いたのか、人影の片方が大きく手を振っているのが見える。


「行こう!」


そう二人に声をかけ、走り出した。