そんな毎日を過ごしているうち、ふと気づくとクラスの出し物がいつの間にか『模擬縁日』に決まっていたのは、二学期が始まって3週間が経とうとしていた頃だった。

学祭は10月の最終週の土日に行われるのが通例で、ざっと数えて約1ヶ月の準備期間が設けられている。

クラスごとの出し物に加えて部活での出し物や展示もあり、保護者や地域のみなさんといった一般の人たちに解放される学祭2日目は、去年初めて体験したけれど、ものすごい混雑具合で軽く眩暈を起こしそうなほどだった。


クラスのほうは人気の飲食系なので、そこそこ忙しかったけれど、写真部は閑古鳥が鳴くほど集客がなく、たまにふらっと顔を見せるのは先生方だったり、うっかり迷ってしまったふうな年配の方だったり……。

悠仁先輩と秋人先輩が校内を触れ回って一生懸命写真部の宣伝をしていたものの、そりゃ、食べ物だったり賑やかな催しが行われているほうに自然と人が集まるのは当たり前のことで。

当時、写真なんて別にどうでもいいと思っていたわたしは、先輩ふたりの涙ぐましい努力がすっかり水の泡になり、ふたりしてものすごくヘコんでいる姿を見ても、言葉は悪いけれど、当然の結果でしょう、と心の中で思ったりもした。