「紗央莉、庵、久しぶりだな……。


今な、お母さんを止めてたんだよ、お母さんは、父さんのすることをことごとく邪魔するからな……」









そう言いながら、右手にナイフを握ったまま、私たちに近づいてくるお父さん。











「さ、おり……いおり……に、げて……」










もう死んでしまっていてもおかしくないような状況なのに、それでもお母さんは、私たちにそう言う。









「助けて」ではなく、「逃げて」と。














私、お母さんの娘で良かったよ。






ありがとう……。