僕は四つでした。この上もなく確かで変わらないものを見つけて、それを所有する願いが心に芽生えたのです。言うまでもなく、四つの歳で、自分の願望をこう云いおおせたのではありません。ある日、父が六色の別々のインクの出るペンを呉れました。僕はそれに夢中になり、他の沢山の単色ペンとの書き較べに満足した後、僕の複数色のペンを父に向かって高々と持ち上げ、これが完璧なボールペンかと尋ねたのです。同じ年のクリスマス、彼はレコード・プレーヤーと何枚かのレコードを買って呉れました。以後十日ばかり、昼も夜もそれらをいじくり回して、とうとう僕を魅了した機械を壊してしまいました。僕が突然音楽への情熱を燃やし始めた訳ではありません。このレコード・プレーヤーをして、一台のレコード・プレーヤーたらしめているものが何であるのか、それを知りたい欲求に突き動かされていたのです。エジソンの好奇心を以てではなく。父が与えて呉れた物が最良のレコード・プレーヤーでない事を僕は知っていました。豪華なステレオ・セットが彼の書斎に鎮座ましましました。特別な折、彼が上機嫌の時、僕の大好きな『イタリア奇想曲』とか『合唱幻想曲』とかを掛けて呉れたものでした。従って自分のよりも優れたレコード・プレーヤーが少なくとも一台は存在する事を知っていました。僕はその差が何に因るのか知らなければなりません。自分のレコード・プレーヤーをひっくり返して、底がどうなっているか見ました。揺らして、中に何が入っているのか、カタカタいう音で当てようとしました。回転盤に指を載せて止めました;針を指で撫でた時に出る音にびっくりしました。しまいにはネジ回しを手にしていました。そして心に誓いました:いつか父の書斎にあるようなレコード・プレーヤーを、いや、もしそれよりも優れたやつがあるのなら、その理想的なやつを所有しようと。