次の第1回から掲げるのが、小林伶門(1960?1961? ~ 1982・12・19)の遺書です。Raymond Kobayashiとも書き、フランス人を母親に持つ混血児でした。

遺書は、叔父であった小林[まこと]信牧師にあてた長大な書翰の形をとっています。原文はタイプライタで打った英文です。ゆえあって、2006年にわたくし天野が翻訳するような事になりましたが、伶門の作るセンテンスは論理的で緻密、全体的に長くて難解、所々意味不通でさえあります。*

元来は婚約者兼被害者女性の手がきノートと合冊して出されたものを、ここでは独立した読み物として扱います。さてネット掲載するのに、どんな標題をつけたらよいか、悩みましたすえに、『狂気前夜』としました。むろんこれは、故人の与り知るべくもないところです。


平成27年4月28日
天野なほみ



*訳者より:カッコ[ ]は翻訳する際につけたルビ。画面では、 [ひっきょう]畢竟 、 [そけいぶ]鼠蹊部 の如く、語の前に置くものとします。それにしても、Kobayashiの書く文体は論理的で緻密で、相当な読解力を要求され… ハッキリ言ってメチャクチャ難しいです ^^; 現国の勉強になるかも?