「キヨ、知ってる?鈴峰ってどんな奴か」
キヨ……?
同じクラスにそんな人いたっけ?
まだクラスメイトの顔と名前が一致しないから、わからない。
「まだ新しいクラスになって、そんなに経ってないからなぁ。それより、あんまり騒ぎ立てるなよ。鈴峰に悪いだろ」
この中でもキヨくんだけはわたしの味方をしてくれる。
いい人だよ、あなたは。
キヨ。
キヨ……
キヨ……?
あっ!
思い出した!
高野くんの友達の中でも唯一の王子様キャラで、甘いマスクと爽やかな笑顔が特徴的な可愛らしい人だ。
そっか、同じクラスだったんだ……。
知らなかった。
そこまで接点もないしなぁ。
高野くんの声はまだ聞こえて来ない。
「海斗は知らねーの? 鈴峰のこと」
ーードキンッ
ど、どうしよう。
ドキドキしすぎて胸が痛い。
振られるって、迷惑だってことは十分わかってる。
わたしなんかが手を出していい相手じゃないってことも。