朝のHRが終わって授業が始まる。
はぁ。
なんで同じクラスなんだろう。
昨日までまったく気にならなかったのに、斜め前に座る大石さんの背中に目が行く。
背筋をピンと伸ばして、後ろ姿まで綺麗だなんて反則だよ。
そりゃ、みんな惚れちゃうに決まってる。
高野くんだって……惚れるよね。
ますます、わたしなんかじゃ敵わないって思い知らされた。
圧倒的に目立つ大石さんとわたしじゃ、比べものにならない。
そりゃ、わたしのことを覚えてないわけだよ。
キヨ君の隣が大石さん。
授業中大石さんの背中を盗み見ていると、キヨ君が振り返って何度か目が合った。
わたしの気持ち……高野くんに言ったりしないよね?
大丈夫、だよね……?
仲が良いから心配だけど、バラすなら昨日の内にバラしてるよね?
キヨ君は唯一わたしの味方をしてくれてたし、言いふらしたりはしていないって信じたい。
ウワサにもなってないし、他の人も黙ってくれてるんだろうって勝手にそう解釈した。