あたしより小さくて泣き虫だった幼馴染は今ではあたしより大きくて男らしくなった。





「楓、帰ろ?」


「…ん。待って今行く」





のんびり立ち上がった楓は黒髪のメガネで俗に言う知的系男子だ。


それにスタイルも良くて顔もありえないほど整ってる。

だから女子に人気があってキャーキャー騒がれてるの。



なのにその本人は無関心で、それに付け加えて彼女もあたしが知ってる限りいない。





「楓」


「ん?どうした?」


「楓は好きな人とか彼女とかいないの…?」





そういったあたしに楓は目を見開くとスッと目を細めた。



「それって、俺に彼女つくれってこと?」


「ち、違うよ!」


「じぁ、どういうこと?」


「あ、えっと…」


「ねぇ、俺のことからかってんの?」





だんだん近づいてきた楓の顔に、怖くてギュッと目を瞑る。




その途端、あたしの唇に柔らかい何かがあたった。






「俺が好きなのは、お前なんだけど」







目を開けると、どアップの楓の顔。


楓の頬はほんのり赤くなっていて。







そんな楓にあたしの心臓は破裂寸前。





fin.