ケータイ小説 野いちご

繰り返す

あの人




ただいま金曜日の夜の8時50分


目の前の机にはできたての
料理が美味しそうに並んでいる

そんな料理を前にして
私は深呼吸をしていた



『大丈夫…大丈夫…』


残り約10分

あの人が帰ってくる



時計の針が進むたび
私の体の震えが酷くなる


スカートを握り締めていたため
しわくちゃになっている

そんなことは気にならないくらい
私の頭の中には
あの人のことしかなかった



ガチャッ



ドアの開く音に体が反応する

大丈夫…


最後に深く息を吸って吐いた


急いでドアまで向かう




『おかえりなさい!』



あの人の前では笑顔でいたい
口が引きつっているのを感じながらも
笑顔であの人の前に立つ


けど


「…」


あの人は無言で無表情で
私を睨みつけるように
見ているだけだった



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