あるアパートの一室――



「あ、あん……」

ベッドの上で、2人の男女が真っ昼間から致している。

互いに一糸纏わぬ産まれた時の姿で、激しく、情熱的に愛しあっていた。


「ハ、ア……今日は、これくらいにしておくわ。明日の仕事に響くとマズイし」

真っ赤な顔をした女が、荒い呼吸をしながら言うと、馬乗りになっていた男は残念そうな表情をしながら離れていった。


「ごめんね」

「いやいや、僕の方こそゴメンね。押しかけちゃって」

汗で濡れた金色の前髪をかきあげながら、男は頭を下げた。


ベッドから降りた女はタオルケットで身体を包み、棚の中から取り出したハンドタオルを男に手渡す。


「ありがとう」

礼を述べながら男は顔や身体の汗を拭き取り、丁寧に畳まれた己の私服を広い、身につけていく。


「シャワーくらい浴びていけばいいのに」

「いや、大丈夫大丈夫。気にしないで」


全ての衣類を纏うと男は、やや古風な眼鏡を付け、懐からインスタントコーヒーの袋を取り出した。

「これ、良かったら飲んで。美味しいよ」

「まあ、ありがとう! 明日の朝、仕事前に飲むわ!」

「うん。じゃあ、また今度ね」


嬉しそうにコーヒーを受け取る女に笑顔で手を振り、男は部屋を後にした――。