【杏菜side】
葉は枯れ落ち寒さが深まる。
風が冷たく頬を撫でて、もうすぐやってくる冬を実感。
「うぅ〜…寒いよ〜……」
右手に珀疾さんの温もりが無いのも寒さの原因かも……。
放課後、2人で帰ろうとしてると怖い男の先生に連れて行かれちゃって。
『進路相談サボるな〜‼︎瀧澤‼︎お前、今日だろー‼︎』
なんて怒鳴られてた。
そうだよねー……珀疾さん年上だもん。
………ちょっと寂しい。
–––––––ガタッ
「へっ…‼︎な、何…?」
背後から聞こえた物音。
振り返って見ても誰もいない。
歩き慣れた道なのに、なんだか気持ち悪いなー……。
気にしちゃダメだよね?
無事、特に何事もなく帰宅出来た。
「やっぱり何もなかったじゃーん‼︎」
「どうしたの杏菜〜?何かあったの?」
「ううん‼︎なんでもない‼︎」
心配そうに尋ねてくるお母さんに笑顔で返した。
疲れてただけ?
今日は早めに寝よーっと。
いつもより1時間は早い10時にベッドへ潜り込んだ。
明日は珀疾さんと帰れると良いなぁ〜。