【杏菜side】



騒がしい教室の曇る真っ白な窓ガラスをそっと指先でなぞる。


大きな溜息を吐いたって、何も変わらないのに……。



珀疾さんに嫌われちゃったのかな?


考える度に、涙が出そうで。


胸が苦しくなる。



「ちょっと〜‼︎何暗い顔してんの〜⁉︎」


明るい声と同時に、背中に痛みが走る。


叩く力強過ぎっ‼︎


「夏実……」

「あたしに話してみる?少し楽になるんじゃね?」

「…ありがとう」

「まだ、なんもしてないし‼︎」


学祭の時に関わったギャルグループの1人である夏実(ナツミ)。


チャラいのに、実はすごく優しい子。


茶髪で毛先をピンクに染めてるのが、チャームポイントらしい。


「てかさ〜‼︎もうすぐ、クリスマスじゃん‼︎」

「あっ、あはは〜…そうだねっ」

「杏菜は、もち彼氏と予定入ってるんでしょ〜?」

「いや…それが、ちょっと…」


フラれちゃったもん。


クリスマスは一人ぼっち確定。