別れを告げると決めたその日まで

俺は毎日沙織を愛した。



別れを惜しむかのように。




そしてある日、

沙織を海に誘った。


そう、別れを告げるため。


星空の下。

海岸に座る二人。



暗くて表情はよくわからないが

沙織は何かを決意したような

顔をしていた。



いつもは心地のいい沈黙。

それが今日はすごく辛い。



そしてついに俺は告げた。


『沙織…終わりにしよう…』


沙織「っ…」


『自分勝手ですまない…』



沙織「…大丈夫です。

わかってましたから」


絞り出したような声で沙織は言う。




彼女は静かに立ち上がった。

強く、凛々しく、悲しげや瞳で。