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「お…かしいでしょう!!」

ポスト前で通知を見て、思わず叫んだ。

白い紙に書かれた黒い文字。

それは紛れもなく───

「不合格……」


頭に十トンの岩か何かが落ちてきたような感覚。


あんなに勉強して、友達との時間も人一倍削って頑張ったのに。


意味が分からない。

理解できない。

私の高校生ライフを棒に振って、得たものがこれか。

エレベーターを待ちながら、紙を握りしめた。

無意識に手に力がこもり、通知がギリギリと潰れていく。

通知じゃなくて死刑宣告だ、これは。


一人暮らしの家に帰っても慰めてくれる人なんか居ないのに、帰らなくちゃいけない。


頭は拒否しているのに、身体が寒いと訴える。

何事も巧くいかない。

ああ、何で私がこんな目に。

神様なんかいないじゃん。

塾の先生が太宰府で幾つお守りを買ってきたと思ってるの。

まぁ数の問題じゃないけれど。


「ああっもう!!」


渾身の力で壁を蹴った。

コンクリートの壁は何事も無かったような顔をして、平然としている。

痛かったのはローファーを履いた私の爪先だけだ。

腹立たしい。

と、そこへちょうど来たエレベーターにドスドス乗りこんで、乱暴にボタンを押した。