ケータイ小説 野いちご

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たとえば、愛とか。

e.g3:深層心理



翌日の今日は仕事が休みだ。
休みと言っても特に予定もない私は、いつものように早起きをしてしまってもダラダラとしていた。

お腹が空いた。
そう思ってリビングへ向かおうと階段を降りる。すると、階段の降り口の正面にある玄関の扉が開いた。

びっくりして立ち止まっていると、外から入ってきたのはお姉ちゃんだった。

「茉莉。なにそんなとこで突っ立ってんの?」
「あ……軽くなんか食べようと思って降りてきたところで」
「あ、そ。あー、疲れた~」

怠そうな顔をしてパンプスを脱いだお姉ちゃんは、私の前を横切って先にリビングへと入って行った。
後を追う形で私もリビングへと向かうと、対面キッチンに立っていたお母さんが丸い目を私たちに向けた。

「珍しいわね、ふたりで揃って降りてくるなんて」
「私は今、夜勤明けで帰ってきたとこ」
「ああ、そうなのね。おかえり。なにか食べる? 茉莉は?」

放任のお母さんが私たちに向かって尋ねると、私が口を開くよりも先に、お姉ちゃんが答える。

「私はいいわ。茉莉はなんか食べたいみたいよ」
「あら。夕莉(ゆうり)はいいの?」
「食欲よりも睡眠欲なの」

お母さんとお姉ちゃんの会話を聞きながら、ダイニングテーブルに座った。

「茉莉はご飯? パンもあるけど」

たまたまキッチンにいたからだろうけど、珍しくお母さんが丁寧にそんなことを聞いてくれて少しびっくりする。
意外だったから反応に少し遅れた私を差し置いて、お姉ちゃんがちゃっちゃと返答してしまう。


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