ケータイ小説 野いちご

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たとえば、愛とか。

e.g2:愛情表現



今日はちゃんと別の服に着替え、髪も昨日よりも丁寧にセットして仕事に向かう。
いつも私は、受付スタッフの中では誰よりも早くに出社して制服に着替える。

初めは南口、午後からは北口担当か。東雲さんとはすれ違いの配置だな。
東雲さんのことが嫌いというわけではないけど、隣にいると自分と比べてしまいがちなとこから、苦手意識が強いのかもしれない。

すれ違いの配置になんだかホッとして、南玄関へと足を向ける。
いつも通りに準備を終えて、開店を迎えた。

背筋を伸ばしたまま、頭を下げ過ぎないように上半身ごとゆっくりと体を前に倒す。
口角を上げ、優しく微笑むようにしてお客さんを迎え入れるのもすっかりと慣れた。

毎日同じことを繰り返す仕事。
けれど、その時によって、微妙に違う対応を求められる。

それが接客業の面白味でもあり、辛いところでもあると思う。

昨日はそれでよかった対応も、今日のお客さん相手では違うかもしれない。
褒められることもあれば、怒られることだってある。

「ちょっと! この広告わかりづらいんだけど!」

何かお叱りを受けるだろうと感じるお客さんは、受付に近づいてくる雰囲気ですぐにわかる。

「申し訳ございません」
「本当よ! こんなに大きくケーキの写真載せてたら、誰だってもう買えると思うでしょ! それが明日からだなんて!」

折りたたんでいたうちの広告を乱暴に広げて突きつけられると、その40代くらいの女性は鼻息を一層荒くして詰め寄ってきた。


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