彼がベッド際のカーテンを開けると一気に部屋の中に陽の光が射し込んできた。


やはり晴天の様だ。


「取り敢えず、コーヒー淹れますね。」


と加藤陽日は言うと直ぐ隣のキッチンへと向かった。


キッチンと言ってもお湯くらいなら沸かせそうな簡易的なものだ。


けれどそのキッチンが使われる事はほぼ無いのだろう。


元に彼はポットでお湯を沸かし始めている。


太陽の光を浴びたお陰で少しはスッキリしてきた頭で部屋を見渡す。


なんて事ない、シンプルな部屋。


あまり物も多くないけれど殺風景という訳でもなく男の人の一人暮らしにしては清潔感のある部屋だった。


私もモソモソとベッドの上で起き上がる。


我が身をよく見ると、ちゃんと下はスエットと上は長袖シャツを着ていた。


どちらも大きめのサイズなので恐らく彼のものなんだろうけど、私これどうやって着たのかしら……。


この際、深く考えるのは止めておこう。


それほど広くもない部屋なので座る場所を考えてしまう。


とは言えこのままベッドに座ってるってのもねぇ…。


取り敢えず、ベッドの横にある小さなテーブルの脇に座ることにした。


「お待たせしました。お砂糖とか入れる?」


小さなテーブルにカップを置きながら聞いてくる彼に目を向けるとやはり彼もちゃんと部屋着っぽい服を着ていた。


なんて事ない部屋着でもイケメンが着るとこうも違うものか……。


感心しながら我が身をもう一度見てみると、同じ様な物を借りて着ているのにその違いに若干ヘコむ……。


でも……お互いの服装を見る限りどうやら昨夜、何も無かったのは本当のようね……。


「ううん、ブラックで良い。いただきます。」


カップに口をつけると少しホッとした。