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「う、わ……」

昨日グシャグシャに泣いて髪も十分に乾かさずに寝たせいか、目は腫れあがり髪は自由奔放な方向に跳ねていた。


さすがにちゃんとして寝れば良かったな。


今は九時。

今日は二時から説明会だ。


「絢莉、やっと起きたの?」

お母さんがソファーに座ってテレビに目を向けたまま言った。

「あ、うん…おはよ」


とりあえず目は保冷剤で冷やそう。

冷凍庫から保冷剤を取り出して左目に当てる。

鋭い冷たさにブルッと身震いして、今度は冷蔵庫を開けて牛乳を取り出し、コップに注ぐ。


「あ、冷蔵庫の牛乳……って絢莉!あんたどうしたのそれ!!」


何気なくこっちを見たお母さんがすっとんきょうな声をあげた。


「…まぁ…」


フラれましたなんてアッサリ言えない。


口ごもる私に何かを察したのか、お母さんは何も言わなかった。

代わりにパンが入れてあるバスケットを指差す。


「絢莉の好きなパン、買ってあるから食べな」

「うん。食べる」


お母さんの気遣いと勘の鋭さで少し気が軽くなった。