「さぁ、早く居間に行こう」

「そうね!
皆に明日香のことを紹介しなくちゃっ!!」

空牙さんと麗さんの言葉に私たちはぞろぞろと居間に向かった

「っ、うわ~」

居間にはいって私は思わずそういってしまった

だって、大きな居間にたくさんの組員さんがいたんだもの

強面の人や少しチャラそうな人、おじさんから高校生ぐらいの人がみんな座ってこっちを見ていた

「お、お父さん
この人達全員組員さん??」

クイッとお父さんの和服の袖を引っ張りながら私が聞くと

「……ん?あぁそうだ
だが、居間の人数は極一部だ」

「…………へ?
す、すごいね」

若干引き付きながら私はそう答えたお父さんに言った

「お前ら、急に集まってもらってすまないな」

とお父さんが大きな声で急に言ったからビックリしたけどそれ以上に組員さん達が

「「「「いえっ!大丈夫です!」」」」

と声を揃えて大きな声で言ったからもっと驚いた

「先日も少し話したと思うが今日から俺たちの娘になった明日香だ!!
急に決まって混乱しているかもしれないが仲良くしてやってくれ
よろしく頼む!」

お父さんがそう言うと
「「「はいっ!」」」

と言ってくれた

「最後に明日香、みんなに言いたいことあるか」

と今までの大きな声じゃなくて優しく少し小さな声で私に言った

「…えっと、あの…
……っ、明日香です
これからお世話になります
明日香って呼んでください…敬語もなしでお願いします」

最後に私が頭を下げるとまわりから
よろしくやこれからは家族だななどの声が帰ってきた

「…………ッッ」

私は泣きそうになった
こんなにも………人の優しさに触れたこと
それでも私の中に拒絶されたらどうしようと言う不安

たくさんの感情が込み上げてきて泣きそうになり
私がうつ向いて嗚咽を漏らさないように唇を噛んでいると
ふわっと誰かが抱きしめてくれた

あぁお母さんだ……

そう、お母さんが私を抱きしめてくれた

「大丈夫よ明日香……
ここの人達はあなたの家族
誰もあなたのことを拒絶なんてしないわ」


まるで、私の考えていたことがわかっていたように優しい声で言ってくれた

「……っ…う、ん
ねえ、お母さん?」

「どうしたの?」

「わ、わたしっ…幸せ!」

ぎゅっとお母さんの背中に腕を回し、力強く抱きつきながら私は言った

「そう…お母さんも幸せよ」

お母さんがそういってくれた後、私はお母さんの顔を見るとにっこりと笑っていた

「明日香
俺にもしてくれ」

といきなりお父さんがそういって腕を伸ばしていた

「ふふっ
あなたったら焼きもちやかないでよ」

とお母さんが笑いながら私を放した

だからわたしは

ギュッとお父さんの胸に飛び込んだ

「……っ
お父さん大好き!!ありがと」

と抱きつきながらそう言うと


「あぁ」

お父さんが短い返事をして私に笑いかけてくれた

その光景を見ていた組員さん達が呆然と私たちに聞こえないように

「組長のあんな笑った顔、姐さんだけに向けていたのに…
すごい人だ…明日香さんは」

「あぁそうだな
でも、あんな幸せそうな組長と姐さん達を見るのは初めてだ」

「もう、明日香さんは俺たちの家族だ」

そう言っていたのを私たちは知らなかった