ケータイ小説 野いちご

カルナック戦記

プロローグ




これを読んでいる君達の世界には、美しいものが存在しているのだろうか。




私が見上げる空はいつも灰色だった。


500年、いやもっと前だろうかーー
空は青く、美しかったらしい。


しかし私の中の空の定義というものは澱んだ灰色の厚い層、それ以外の何物でもなく、私と同じ時代に生きる者達も同様だろう。


しかし美しいという言葉さえ失われつつあるこの世界では、きっとそれが空のあるべき姿なのだろうな。



…ああ、そういえば私は一つだけ、美しいものを知っている。




強くて凛としているのに、何処か憂いを帯びた、戦場に咲く一輪の青い花。





…叶うのならば。

私は、その花にもう一度、会いたい。







< 1/ 28 >