ケータイ小説 野いちご

ウタオト

volume.1
♪.SteLLa



「機嫌直してよー、歌音ちゃーん!チョコあげるからさ」



左隣でチョコを差し出し、私の機嫌を取ろうとする睦月さん。



それを私は無視する。



「睦月、歌音ちゃんが迷惑してるぞ」




耀さんは私の向かいで呆れたように溜め息を吐く。




その隣に座る碧さんはヘッドフォンを付けて、完全に一人の世界に、私の右隣に座る閑雅さんは大学の参考書を片手に笑っていた。




「歌音ちゃーん、怒ってる?怒ってるよねー!」



「感じ取ってるなら聞かないでください」




私が睦月さんを睨み付ければ、彼はしゅんと怒られた子犬のように小さくなる。



そんな風にしても私の機嫌は戻らない。




え?何で、そんなに不機嫌なのかって?



だって、帰ろうとしたらこの馬鹿(睦月さん)が……。




『今からPVの収録あるんだ!見に来て!』




って言って腕を掴まれ、移動車に強制的に乗せられ、現在に至るという訳で。






< 32/ 156 >