首を傾げながら、
ふと廊下の窓の外を見てみる。

校門に来たばかりの時は
薄暗いくらいだったのに、
今は向こう側の校舎の
影の形しか見えないくらいに真っ暗。

蝉の声は聞こえなくなって、
鈴虫の鳴き声が聞こえてくる。

窓の外を見上げれば、
所々雲に隠れた黄金色の月が覗いている。

こんなに暗い時間に
家に居ないのは初めてだな…

ちょっと不思議な気分になった。

でも、
家にいなかった所で
こんな時間じゃ
両親とも帰ってきているわけがないし。

帰ってきていたとしても、
私が家にいないと気づいて
心配なんてしてくれるわけ…

ふるふる頭を振る。

考える事を変えよう。

それにしても、
空き教室の七不思議は
最初は噂の通りだったけれど、
普通にこの学校の生徒達だったわね。

本当のところはわからないけれど、
もしかして毎日こんな時間まで
集会を行っているのかしら?

…今思い出してみたら、
黒板には夥しい数のハートマークや
人の名前___澄晴の名前も書かれた傘?
のようなものがあったし、
五十音表が書かれた紙が置いてあった。

他にも色々なものがあの教室に
常備されているような配置だったわ。

ぞわっ

背中が寒くなった気がする。

思わず腕を擦っていたら、

きらっ

と目の端に何かが映った。