カラカラと微かな音を立てて、世界が廻る。


4歳の頃におじいちゃんがくれた、大事な万華鏡。


ただの筒だと泣き喚く私に、おじいちゃんが教えてくれた。


筒の一端に目を押し当てて、その世界に引き込まれた。


筒を回すと、中のビーズや細片が揺れる、巡る。


あの頃は万華鏡の仕組みをよく理解できなくて、何度も何度もおじいちゃんに説明をしてもらった。


「鏡華が回せば、世界はいつも綺麗だ」


口癖のようにおじいちゃんが言っていた。


万華鏡。


世界を回せば、私の世界はいつも鮮やかになった。


それが例え


閉じ込められた、筒の中でだけの世界だったとしても。





『万華鏡〜片眼の恋〜』