咲弥side




焦った。

ものすごく焦った。



彼女が逃げて行った方をボーっと眺める。


「...雅」




正直、あいつからの告白は嬉しかった。

俺も好きだ、って言いたかった。



この間実家に帰ったとき、

雅の両親に聞いて、雅が一人暮らししている家の住所を知った。



嫌われてるだろうし、そもそも忘れられているかも、とも思ったけど、

会いたかった。

あの笑顔が見たかった。