貴文と雪貴は顔を見合わせてニコッと笑うと、祥子は雪貴に連れられて雪貴の家に連れていかれた。


「ここは俺の避難所みたいなものだ。
せまくて悪いな。」


見たところ、高級マンションにしか見えない。
しいていうなら、採光のための工夫はあるが、ここは最上階ではなく最低階だった。


「会社の事務所なんですか?」


「いいや。生活スペースだよ・・・とはいっても君の実家がわりで控室がわりの場所で、すぐに君はうちの高校に入ってもらって寮暮らしだけどな。」


「雪貴さんは学校も経営なさっておられるんですか?」


「ああ、そうだよ。
それで、これから君を我が校にふさわしく変身させようって話。

さぁ、みんな!仕事にかかってくれ!」


「はい、かしこまりましたぁ!」



「えぇえっぇえええ!!」


祥子はさっきまでどこにいたかもわからないスタッフに引っ張っていかれて、背中に垂らした髪まで少年のようにカットされてしまった。


「ま、待ってよ!私の注文もきかないで、どうしてそんなに短くするのよ。」


「怒らないでください。
これもあなたを守るためだって旦那様から頼まれてますので。」


「私を守るためって・・・」


2時間ほどして、雪貴の前に連れてこられた祥子は、ちょっと細身のかわいい美少年になっていた。


「あまり時間はかからなかったな。
素材がいいと、美少年づくり程度は簡単か。」


「雪貴さん・・・説明してください。
どうして私、男の子になっちゃってるんですかぁ?」


「もちろん、俺の学園に転入してもらうためさ。」


「あの・・・もしかして雪貴さんの経営してる学校って男子校?」


「うん、もしかしなくても男子校なんだ。
生徒たちは優秀なヤツが多い。

あ、これは君がバカだといってるんじゃないんだよ。
我が校の生徒たちが勉学に関して優秀だといってるんだ。
国立大学にスイスイ受験して、みんな自分の目指す道に向かっていくやつばかりだからね。

残念ながら、共学ではないから、君に高校生の教育をさせてあげようと思ったらこうするしかなかったんだ。
あ、心配しなくていい。
もし、授業についていけないなら、俺が教えてやるからな。
正直に、これがついていけなかった。わからなかったというんだぞ。」


「あ、あの・・・そんな学校で、私・・・どうやって過ごしていけばいいんですか。
私は女の子で・・・それもあまりボーイッシュじゃない女の子なんですけど。」


「まぁ、少し練習してから編入してもらおうか。」


「そんなぁ・・・」