水族館デートを済ませ、帰宅してからシェフが用意してくれていた夕飯を遅めにとった2人は軽く抱き合ってから、祥子は自分の部屋へ、雪貴は自分の邸へと帰っていった。

翌日のお昼頃、貴文たちがハネムーンから帰宅してからは急にいろんなことがあわただしくなった。


「そうか、雪貴たちは仲直りできたか。それはよかったな。
三枝・・・いろいろありがとう。
明日からは秘書としてよろしく頼むな。」


「はい、で・・・雪貴様からお手紙を預かっていまして・・・これをお読みください。」


「手紙?あいつが・・・なんだ?うわっ!!な、なんだって!!」


「どうしたんです?」


「雪貴のやつ・・・明後日、入籍するって・・・だから祥子ちゃんを邸にもどしてくれって・・・急過ぎじゃないのか?」


「なるほど・・・昨日妙に機嫌がよくて、お二人が友達みたいにカラっとお帰りになったと思ったら・・・そういうことだったのですね。」


「おぃ・・・三枝、いったい何があったんだ?」


「さぁ、私にも詳しいことはわかりませんが、2人で水族館へと出かけられまして・・・いろいろと話し合ったんじゃないんですかね。」


「へぇ・・・とにかく、志奈子と話して決めないと・・・。」



貴文が志奈子に話すまでもなく、祥子は志奈子に入籍をすませて、雪貴の邸に帰ることを話していた。


「決心がついたということね。」


「うん。確かに私は不勉強で知らないことがいっぱいだけど、雪貴さんが10年間ずっと私のことを考えていてくれたことは報いたいと思って。

遊びにいくことは制限されちゃうけど、こんなにいっぱい私のことを思ってくれる人はいない気がするの。
それに、雪貴さんがスーツじゃないときにおでかけすると、私がすごいお子ちゃまじゃないような感じでね。
髪の毛サラサラの雪貴さんもいいなぁって思ったの。」


「そう、あなたがそれで決心することができたら、誰も反対しないわ。
私も亡くなったお父様の遺産をめぐって悪い相手に注意しなきゃいけないのは疲れたし、雪貴さんならその心配はないし、いいお話だと思うわ。
でも、あなたの部屋はここに残しておくわね。」


「うん、ありがとう・・・お母さん。」


やがて、雪貴と祥子は婚姻届けを2人で出しにいき、祥子は再び雪貴の家へ住むことになった。


「で・・・どうしてここに水野さんがいるの?」


「若いおふたりのサポートをするように、貴文様から仰せつかってまいりました。」


「監視でしょ!兄貴のヤツ・・・余計なまねを・・・。」


「祥子様もまだ高校が1年残っていますし、きちんとまず学業を終了していただきませんとね。
中途半端にご懐妊でもされて、休学なんてことになったらおかわいそうですから。」


「そんなことはしない!
そりゃ、卒業のときに大きなお腹になってることはあるかもしれないが・・・卒業は絶対してもらうつもりだから、安心しろって。」


「それならいいですがねぇ。」