―サッカー―


晴れ渡る青空の下、愛しの息子、空がボールを蹴っている。

土曜に行われるサッカーのミニ試合に出場している空は、先生譲りの運動神経で活躍している。


先生は、部活で見に来ることができなかった。

見せたかったな。


結婚相手が教師であるってことは、世間的には珍しいらしい。

旦那さん仕事何してる人?とママ友に聞かれることも多く、高校の先生と答えるとほとんどの人が大きくリアクションするんだよね。


えー!高校の先生?

えー!女子高生と毎日一緒とかいやじゃない?

生徒から告白されたりするんじゃないの?



と、心の奥の方のもう開けたくない箱の中に入っている気持ちをグイグイと引き出される気分。



わかってること。

高校の先生と結婚したんだし、休みが少ないこともちゃんとわかってる。

考えちゃダメだってわかってるのに、生徒の中に先生を好きな子がいるんだろうなって想像しちゃう。


時々ね、なんだか疲れちゃうときがある。


比べちゃだめなんだけど。

今日も、半分以上のパパが、サッカーを観に来ている。


先生はどうしても交代できない日だったから、休めない。

大事なのはわかる。

仕事だし、それ以上に先生が熱い想いで教師をしているってこともわかってるのにね。


空の“はじめて”を共有できないことが寂しかったりするんだよね。




だめだな、私。

母親になって、ちょっと先生の奥さんとしてだめな部分が出てる。


私自身はいくらでも我慢する。

ただ、空には寂しい想いをさせたくないって思っちゃう。


大好きで、かわいくて、大切すぎる存在だから。


先生への愛とは比べられない別の愛なんだよね。