「ほら、王子登校してきたよ」


窓の外を指さして紗和が言う。

私はブンブンと顔を横に振った


「なんで?最近見てないじゃん
いつもの日課だったのに。」

「だめ…私、病気かもしれない」

「はぁ?」


いつまでたってもじっと椅子に座っている私を見て、紗和が前の席に座った。


「なに、どっか悪いの?」


そういって紗和が額に手をあてた


「熱はないみたいだけど…気持ち悪いなら保健室行く?」


紗和はいつも体調悪い時"だけは"優しい…

けど、体調が悪いわけじゃない

私はまた勢いよく顔を横に振った


「…なんか…王子見たらドキドキすんの」

「……………」


私は自分の心臓をおさえた。

紗和は呆れたように言った


「いや、そりゃ好きだからに決まってんじゃん」

「え!?私って王子好きなの!?」

「好き以外のなにものでもないじゃん、あんたバカ?」


え…ってことはこれは…


「恋の病?」


急に声がして横を向くと、机に肘をついてこっちをニヤニヤ見ている佐竹がいた。