「あ、マルっ。おはよー!」
いつも通りの朝、いつも通りの時間。
そしてやっぱりいつも通りの駅のホームで、友達である里菜が、私を呼んだ。
丸岡、私の苗字。
だからみんなには『マル』とか『マルちゃん』とか呼ばれてる。
どこにでもいる平凡な、高校一年生。
取り柄は、いつも元気なことくらいだ。
私はあくびをしながら、「おはよー」と返した。
里菜の横には、静かにスマホを叩くチョコちゃんがいる。
寺橋千代子だから、チョコちゃん。
でも本人はチョコというほど甘い性格はしてなくて、どちらかというとビターな感じ。
里菜とチョコちゃんと私は、よく一緒にいるメンバーだ。
だから今日も問題なく、いつも通りの顔ぶれで、私たちは電車を待っていた。