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カツンッ、カツンッ


足音を響かせ、聖が暗い通路を歩いていく。

足を止めたのは、一つの牢の前で、笑みを浮かべて中を覗きこむ。


「ふふ、気分はいかがですか?」

「・・・最悪だな」


その声に答えた光輝が、彼女を睨み付ける。


「ふふ、いいんですか?そんな態度とって。あまり気に触るような態度をとると、風夜様との約束破っちゃいますよ」

「・・・風夜は、どうした?」


雷牙の問いに聖は笑みを引っ込め、つまらなさそうに鼻を鳴らす。


「役にたたないわ。折角の窮姫様の術も抵抗してくれちゃって・・・。でも、まぁ、彼に襲われた時の花音様の表情は、見せてあげたかったわ」


言って、聖はその時のことを思い出し、クスリと笑った。


「風夜に花音を襲わせたって・・・」

「でも、失敗。途中まではよかったのに、邪魔は入るし、あの子に術は破られたしね」

「じゃあ、二人は無事なんだな」

「残念ながらね。でも」


ほっと息をついた三人に、聖はそう言い、笑みを浮かべる。


「あの子、この世界に戻ってくるみたいよ。いや、もう戻ってきてるかもしれないわね」

「「「!!」」」


聖の言葉に、夜天達は目を見開いた。