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「二つ目の・・・」

「ん?」

「二つ目の術者の術を打ち消すのって、どうすればいいの?」

「簡単な話だ。術者とは、また別の力をぶつけて、跳ね返せばいい。だけど」

「だけど?」

「さっきも言ったけどな。かなり強い術がかけられている。それを消すには、それと同じ強さ以上の力が必要だ。中途半端な力量だと、かえって苦しめることになる。・・・それでもやるのか?」


紫影に聞かれ、花音は頷く。


「・・・それでも、やるしかないよ。・・・私は、助けたい。今度こそ」


そこまで言ったところで、紫影が呆気にとられたような顔をしているのに気付いた。


「どうしたの?」

「・・・お前、俺が言ったこと、信じるのか?・・・陰の一族は敵だろ?なのに・・・」

「紫影くんが嘘をついているようには見えないから。だから、信じるよ」

「・・・・・・」


その時、風夜が襲ってきた辺りから、大きな音が聞こえてきた。


「!!・・・行こう」

「待って!花音!」

「!待てっ!俺も行く!」


音を聞いて走り出した花音の後を、飛鳥と紫影が追い掛けてくる。

元の場所へ戻った花音が見たのは、両手足を蔓のようなもので縛られ、何か透明な空間に閉じ込められている風夜と、肩を大きく上下させて、息を整えている蒼達だった。