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元の世界に戻って来て、二週間。

花音は、自宅へと全力で走っていた。

昼休みに届いた母からのメールを見てから、授業終了を今か今かと待ちわび、終わると同時に飛び出してきたのだ。

家が見えてくるにつれて、思わず笑みが浮かんでくる。


「ただいま!」

「あら、おかえ・・・」

「お母さん!メールに書いてあったこと、本当!?」


言い終わる前に聞くと、母は苦笑を浮かべた。


「ええ、本当よ。客間に寝かせているから、そろそろ気が付くんじゃないかしら?」

「ありがとう!」


そう言って、着替えることもしないで、制服のまま花音は客間に向かった。

客間について、扉を開ける。すると、中にいた銀髪の少年がちょうど身を起こしたところだった。


「風夜!」


その姿を見て、花音は彼の近くに駆け寄る。


「よかった。無事だったんだね」

「・・・ああ」

「で、他の皆は?」


風夜しかいないことに、後の三人はどうなったのか気になり、問い掛ける。


「あの後、一度ばらばらで逃げたんだよ。それでまた戻って、此方に来たんだ。でも、まだ三人は来てないみたいだな」

「そっか。うん、でも逃げたなら、三人も無事だよね」


花音は安心したように笑う。

一人で此方に来てしまい、あの後、どうなったのかわからなかった為、無事がわかっただけで安心出来た。