今日も、遠くから見るだけ。


近くには行かない。というか行けない。


そんな勇気あったら、わたしはもう少し彼と親しい関係になっているはず(だと信じたい)。


わたしは図書室のカウンターではぁ、とため息をつく。


膝の上に置いた文庫本。


だけどそこに向いている意識は薄く、その代わり、視線の先にはわたしが密かに想いを寄せている人が。



染められていない自然な栗色の髪はサラサラ。


綺麗な瞳は切れ長で、でも目尻を下げて笑うと優しげな雰囲気になり、キュンとしてしまう。


鼻もスッと通っていて、唇は少し薄めで綺麗なピンク色。


見ていて女の子に対しては少し冷たいかなっていう印象もあるけど、困っている人は見捨てられない性格のとても優しい人。


気配りも上手だから、冷たいところもいい感じに変換されて女の子の間では『クール』って言われてたり。


わたしはそれを聞いて「クールなのだろうか?」なんていつも首を傾げているけど、それはどうでもいい話だ。