「僕はいなくなりませんよ??」

静まり返った教室に響いた可愛らしい声

「嘘。」

それに対し渚は低く疑う声で返した。

「嘘じゃありませんって!それに下ばっかり向いてたら綺麗な顔が台無しですよ」

「なっ!!」

顔を真っ赤に染めて彼、鈴木麗音の目を観た。

「やっと僕の顔を見てくれましたね。」

笑顔で彼女の目を見ながら言った

それに対し何を思ったのか、

彼女は受けた。

「よし、受けるわ。」

「え?」

「貴方の伴奏。」

「本当ですか!!」

「えぇ。」

「やったぁぁ!!!」

「そこまで喜ぶことなの??」

「だって高校一年にして世界中を飛び回っている天才プロピアニスト、

九重渚先輩に弾いてもらえるんですよ!!」

心の中で過大評価をし過ぎだと思ったが、
口に出す事はしなかった。

「だけど、途中で貴方の演奏に飽きたらやめる。これが契約内容、いいよね?」

「はい!!」

「それと私は堅苦しいのは好きじゃないの、よって敬語は厳禁。」

「はい!」

「まぁ、徐々に慣れていこう。」

二人の微笑ましい雰囲気によって、先程の張り詰めた空気は遥か彼方へ行っていた。

「凄いなあの後輩!九重さんに伴奏してもらうらしいぞ!?」

「いいなぁ、天才同士のペアなんて優勝確実じゃん。」

「それに負けないように努力しないとな!!」

「あの二人の努力に勝てるわけ無いでしょ、」

「だけど私達だって小学生の頃からここにいるんだから!土俵は同じ!!」

二人は、クラスメイト達の闘争心まで掻き立てたようだった。