「李穂せんぱーい。
ドリンク作り終わりましたー」

「じゃあ部員の邪魔にならないところにボトル置いて」

「はーい」



4月中旬。

新入生部活説明会も終わり、部員は7人。

マネージャーもひとり入った。



なかなか仕事を覚えるのも早くて、いい感じ。

なんだけど────。



「りーほせーんぱいっ」



語尾にハートマークが着いていそうなトーンでにこにこと。

あたしに近づいて来たのは、



「……尚」



衝撃的な入部を果たしたあいつ。



「今日も好きでーす。
付き合って下さいー」

「あれから1週間。
毎日言ってるけど、無理だっつの」



ため息を吐きながら体育館内を移動するも、ひょこひょこついてくる。

なんだこいつ鬱陶しいな。



「あたしをからかって楽しい?」

「楽しいですー」

「くそが」

「でも、好きなのは本当ですよー」



へらりと笑う尚に回し蹴りを入れる。

先輩ひっど! と騒ぐ声は聞こえない聞こえない。



くそ……くそ!

ちょっとだけど、思わず赤面しちゃったじゃん!



色恋沙汰に慣れてないあたしに、そういう……好きとかなんとか言うのは本当にやめて欲しい。

殺意湧くから。