「確かにこのお店では浮きそうですね」

とは言ったけど、横山さんが一人でパンケーキを頼んで写真を撮っていたら、見た目とのギャップで可愛らしいかもしれない。

「いただきます」

イチゴとブルーベリーに彩られ、ソースがかかったパンケーキはふわっとしてとても美味しい。

「すごく美味しいです」

そう言って横山さんを見ると、私をじっと見て微笑んでいる。

「よかった」

ああ、だめだ……目が合わせられない。

今までの私からはこの状況はとても想像できない。社内でも人気の横山さんとプライベートで会って食事してるんだもん。

「横山さんはいつもお店をリサーチしてるんですか?」

「うん。仕事に関係あることなら休みでも出かけて、こうやってスパイみたいなことするんだ」

さすが営業推進部のエース。いつも爽やかに笑うけれど、その裏で横山さんは仕事に対してどんな時も手を抜かない人なんだ。

「前は一人じゃなかったから、女の子向けのお店にも行けたんだけどね」

「あ……」

彼女さんと別れちゃったから……。

今日の私はおまけで、彼女さんの代わりなんだ。横山さんにとって今日は仕事の一貫なんだよね。一人で浮かれて、私ってほんとにおめでたいな。

食後のコーヒーを飲んでカフェを出た。

「ごちそうさまでした。とっても美味しかったです」

「北川さんが本当に美味しそうに食べるから、こっちも来た甲斐があったよ」

「好きなんです。甘いものが……」

「ならよかった」

本当は緊張してあまり喉を通らなかった。キレイに食べよう、笑顔を作ろうと必死だった。

「少し時間あるね。どうしようか?」

横山さんは腕時計を見た。

「せっかくだから、このままどっか行こうか」

「え?」

「なんか予定あった?」